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<コラム>「点と点をつなげる」:受験生とストレス①

【副校長/校医 福島 拓】

今回は、予備校の学校医として浪人生に焦点を当てて考察する。

下のグラフは昨年度の11月までの当校の全出席状況である(中途入学者・中途合格者含む)。予備校の場合、11月頃から推薦・AO入試合格者がではじめ、12月以降はその数も増えて来るために、全出席状況としては11月までが評価可能な期間である。

全体の出席状況を明示する予備校は極めて少ない。校舎掲示などで数字として掲げているのは、それを売りにしている北九州予備校くらいであろうか。ある大手予備校では、後期からは半分程度の出席者しかいないなど、一般的な予備校の出席率は非常に低いことが知られている。当校も生活指導には相当の注意を払い、出席維持のために多くの取り組みをしているが、それでも年に数名の長期欠席者を出してしまう。非常に残念である。今後も引き続きの努力が必要と考えている。当校の取り組みについては、別稿で述べたい。

 

さて、この出席状況には例年同じようなトレンドがある。すなわち、入学当初の4月をpeakに7月にかけて低下し、8月に一度持ち直すも、9月から再度低下傾向に転じ、11月にかけて徐々に低下する。9月以降の欠席者には、上述した推薦入試やAO入試受験による欠席者や推薦合格者が含まれるため、単純な欠席者数はもう少し少ないが、それでも後期の方が欠席者数は多くなる。

以下に欠席理由の内訳を示す。

欠席理由を前期と後期で比較すると、前期では発熱や風邪など器質的な疾患を疑うものがわずかに多く、逆に後期では体調不良(発熱・下痢などの明らかな症状がない)や腹痛(下痢を伴わない)など機能的疾患を疑う症状が多いことがわかる。

こういった機能的な症状は高ストレス環境下で生じることが知られている。すなわち、浪人生は後期にかけてより強いストレスがかかってくるのである。当たり前のように見えるが、問題は受験生にとって最も強いストレス環境は、入試当日にあることにある。

受験生とプレッシャー(ストレス)に関する意識調査として、LIONが2012年に行ったアンケート調査があるが、その中で、最もプレッシャーを感じたタイミングは入試当日が75.1%と最も多かったと報告されている。本人にとって症状は現実である以上、現役生と違って後のない浪人生にとっては、いかにこの環境に対応していくかが重要で、受験勉強と並行してその準備を行っていく必要がある。

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